新宮茶
新宮村はもともとヤマ茶が多く自生する土地柄でしたが、1951年に静岡から苗木を取り寄せて始まったのが新宮茶の栽培です。
新宮村のお茶栽培の中心人物として参画した脇久五郎さんが試行錯誤の末、初収穫した新宮茶は、静岡県茶業試験場において「香気日本一」の折り紙がつけられ、現在にまで通じる新宮茶の礎を築いたのです。
さらに1986年には、全戸で低農薬ではなく無農薬栽培を達成します。
そのためには強い木に育てなくてはならず、化学肥料を減らし有機物を豊富にすきこむなど、土から作り替えなければならなかったのですが、そうした筆舌に尽くしがたい苦労の連続が新宮茶の現在を支えているのです。
30年間も農薬を使わなければ茶畑には自然の生態系がよみがえり、害虫も多ければ逆に天敵も多いため、少々の害虫発生にはビクともしません。
その分、収量は農薬を使う場合に比べて3割も減ってしまいますが、安全には代えられません。
この農薬に頼らない栽培は、お茶にとって命ともいえる「香り」をさらに強くします。
なにせ、農薬を与えられなければお茶の木は自分自身でがんばって虫害や病害から身を守るしかありません。
そんな生命力に満ちあふれたお茶の葉の香りが弱いわけはありません。
香気日本一とも称される新宮茶の秘密はここにあったのです。
新宮茶のパイオニアとして歩んできた脇製茶場は、2000年には「第2回 国際銘茶品評会」で金賞を受賞するなど、その味と香りの高さが認められています。
自然豊かな新宮で育まれた珠玉の雫を味わってみてください。